台湾へ移住して日本語教師

2018年から台湾で日本語教師をしています。

日本語中級の聴解、会話

中級全体の壁について書いたので、

totolu.hatenablog.com

今回は中級の聴解、会話について書きたいと思います。

 

聴解にもある中級の壁

初級の時は聴解もそれほど壁にぶち当たらない学生が多いのですが、中級がスタートすると突如

「え?!?!」            

となる学生多数🤣

いろいろな理由があると思いますが・・・初級の聴解というのはとにかく単語が拾えたらOKというものが多いと思います。「〜さんは何を買いましたか。」とか「どこへ行きますか」のような問題。

 

中級になると、「Aにしよう。あ!でも、〜だからやっぱりB。あー、でもBにすると〜だから、やっぱり・・・」みたいな、どんだけ優柔不断なんだよと教えているこちらもつっこみたくなる会話になります。

日本語特有のあいまいな表現も盛りだくさんだし、指示詞が何を指しているのか耳だけで聞いて判断しなくてはなりません。

 

中級の聴解のテキストとしては、ニュースを聞き取るテキストとか

 

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日本留学試験対策にもなる大学進学者向けのテキストなどがあります。中級になると学習者のニーズ(学習目的)に合わせることが重要になってくるので、テキスト選びも初級よりぐっと難しくなります。

 

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私は中級の学生には遠慮せずにナチュラルスピードで話すようにしています。学生の表情を見て、聞き取れてないなと思ったら繰り返したり、大事な部分を少しゆっくり言ったりします。

 

会話のジレンマ

これは私の大学院の研究テーマにもなったんですが…どの言語でも中級になると会話でジレンマを感じる学習者が増えます。

自分が言いたいことは一応初級の文法で言える、でも、自分が本当に言いたいことは表現できない苦しみ。

私が今中国語で困っているのは、「感想」がうまく表現できないこと。

おいしいものを食べた時に「好吃」は言えます。

「サクサクだね!」も「脆脆」は言えます。

「いい香り!」も「好香」は言えます。

それぐらい言えればいいんじゃないかと思えますが、日本語で話すのとは違う、うまくいえない不自由さを感じます。

 

中級レベルの学生と話すと、ある程度相手の言いたいことを私も理解できるし、ある程度会話は成り立ってると感じます。

なので、この苦しみは母語話者にも伝わりにくいジレンマとなります。

 

聴解や会話に限らずなのですが、やはり初級の文法が身についた後は「語彙力」かなと個人的には思っています。

ただ、語彙の勉強って苦痛なんですよね。。。ただ単語を意味もなく覚えるのは本当に苦しい。何回も授業で同じ語彙を使って慣れさせることもできますが、効率はとても悪くなります。

 

達成感の重要性

結局結論が前回と同じになってしまいますが🤣

やはり、中級以降の最重要キーワードは「達成感」かなと思います。初級の時は言えるようになることがどんどん増えるので、「勉強した」という実感がわきやすいと思いますが、中級以降になると新しくできるようになった!ということが起きにくくなります。

なので、何かの熱狂的なファン、マニアのような学生は自然に語彙が入るため、どんどん上達していきます。

反対に、「将来のため」や「家族の期待に応えて」のような自分の本心から出た学習動機ではない動機で勉強している学生はどんどん苦しくなってしまいます。

 

じゃあ、自分から出た学習動機がない学生は上手にならないかというと、必ずしもそうではないと思います。

学生のどこかに本心の学習動機が隠れているかもしれない。

学習過程で芽生える動機があるかもしれない。

そこを学生と一緒に探して見つけてあげることがもしかしたら、日本語の先生の本当の仕事なのかもしれません。

 

まとめ

聴解や会話は文法に比べて「試験」という視点からも軽視されることがありますが、文法に比べると上達がゆっくりな分野だと思います。

だからこそ、教えるのも難しいと思います。私もまだ「これだ!」という方法に辿り着けていないので、試行錯誤を続けていきたいと思います。