前回、外国語の会話はなぜ難しいのかについて書いたので、今回はじゃあどうやってその難しさを攻略するのかを書きたいと思います。
会話の教え方おさらい
考察の前に、一般的な会話の教え方というやつをおさらいしてみたいと思います。多くの外国語教育では、
・その日のターゲットの文法を導入
・短い文でドリル練習
・モデル会話を練習
・ロールプレイ
という流れだと思います。
実はデパートやコールセンターのような「お客さんとしゃべる」職業においても、接客マニュアルのようなものがあって、ロールプレイをさせられることがあります。
日本にいるころにいろいろなバイトをしたので、研修でこのロールプレイを何度かさせられました。そして思いました。
外国語と一緒で結局実際には役に立ちにくいな
と。
外国語と同じで、お客さんはマニュアル通りの返事をしてくれません。
が、デパートなどの研修においては母国語を使うので、仕事の雰囲気を掴むためにはロールプレイはいいのではないかと思います。
会話に挫折するとき
先ほどの研修でも、外国語でもそうなのですが、
「お客さんも母語話者もマニュアルやテキスト通りのことは言ってくれない」
私の考えでは根本の問題はここなんじゃないかと思います。
モデル会話を一生懸命覚えて、流暢に言えるようになるまで練習したのに、自分が期待する会話の流れにならなかったら、「練習したのに」とがっかりしてしまう。
そして、「どうせ練習してもうまくいかない」と思ってしまう。
教える側もいろいろな答えを想定するけれど、当然全ての会話パターンを想定することなどできません。
そして教師側にも学生側にも「会話やりたくない。。。」という共通認識ができてしまい、文法ドリルをやたらとやったり、文法導入がやたらと長くなったりするのではないかと思います。
やってみたこと
ここまで考えて、私が授業をするときに工夫しているポイントが2つあります。
1つは、モデル会話を練習したあとに、同じ流れで会話をスタートさせて、違う流れに持っていくというもの。
例えば、
A:趣味はなんですか。
B:映画を見ることです。Aさんは?
A:私はスポーツです。
のようなモデル会話を提示しておいて、練習をします。そのあと、1人の学生に
A:趣味はなんですか?
からスタートをして、学生が例えば
B:ゲームです。
と答えたら、
A:へー、ゲームですか。パソコンですか?携帯ゲームですか?
のように違う答えを返すというやり方です。
が、これはシャイな学生の場合は
B:いろいろなゲームをします。
という逃げ方をします。
もう1つのポイントは先生が忍耐力をつけるということだと思います。
ときどき、すごく考え込んでしまったり、何か思い出そう、言おうとしているけど言えないという学生がいます。
A:趣味はなんですか。
B:ゲームです。
A:へー、ゲームですか。パソコンですか、携帯ですか。
B:いえ、違います。あのー・・・小さい・・・えーと・・・・
となった場合。
おそらく、スイッチやプレステのようなゲーム機の話をしたいのはすぐに想像できますが、先生が
A:あー!スイッチ?
とか聞いてしまうと学生は「はい」で終わってしまいます。
なので、すっとぼけて
A:パソコンじゃない、携帯じゃないゲームですか?うーん?
とか言うと、学生は頑張って「日本のです」とか「小さいテレビです」とか他の説明をし始めます。
これは先生側がある程度学生の好きそうなもの、趣味を把握する必要があります。
なぜなら、頑張ってみたけど思い出せない、説明できないときに「え?分からない」感を出してしまうと、学生は話すのが怖くなるので、ある程度学生が努力をしても話が続かないなら
A:あー!わかりました。もしかして、スイッチ?
のように学生の説明を聞いて理解したという雰囲気を演じることが重要です。
まとめ
長くなってしまいましたが、いろんな工夫をしても、練習しても学生の会話や自分自身の外国語会話が上達しないことはよくあります。
AIとかに会話のパターンをいくつか教えて、会話の練習相手になってくれたりするといいなぁと思ったこともありますが、どうやったらできるのかさっぱり分からないので、誰か作ってくれないかなと他力本願全開で思っています🤣