今日は若干まじめなお話(いつも大真面目に書いてますが)。
日本語学校の進路指導
日本に来る留学生の大半は、日本でさらに勉強するか、就職を希望します。
受験や面接を受けるための書類をすべて日本語で外国人がそろえるのは至難の技なので、学生の進路指導も日本語教師の大切な仕事です。
これは日本国内のお話で、海外で日本語を教える場合はあまりこういうお仕事は回ってきません。学生は「これから日本へ留学に行く人」が多いので、基本的には台湾なら中国語が話せる台湾人・日本人スタッフがやってくれます。
漢方を学びたい学生
先日、家庭教師をしている学生と、「そろそろ日本へ行けるけど、留学の予定とか希望あるの?」という話をしました。
あったとしても、私が直接お手伝いをできることはないものの、マンション選びや日本で気をつけなきゃいけないことなどは話せます。その学生はこんな話を始めました。
今すぐ留学の予定はないけれど、これから漢方の勉強をしたいと。
その学生、長い間アレルギーに苦しんでいて、食べものだけでなく気温やほこりのようなものでも身体中が痒くなってしまうそうです。
そんなとき、台湾の人は、西洋医学より、漢方で治すという選択をする人が多いかと思います。その学生も漢方医のもとへ通って、いろいろな薬を試すうちに、漢方に興味が出たのだとか。
そして、漢方の勉強をしたら、日本か他の国で仕事が見つけられたらいいなと。
ん?台湾の方が見つけやすいだろうし、患者も他の国はわかりませんが、日本より台湾の方が多いんじゃないかと聞いたところ、
「台湾はWHOに加入していないから、私が取ろうとしている資格では台湾で働けない」との答えが。
大学や大学院で中医学を学んだ場合は台湾でも働けるけれど、専門学校のようなところで勉強しても台湾で働けないそうです。
奇妙なルール
台湾の法律であなたの取ろうとしている資格では台湾で働けないのか?と確認したところ、なんと「WHOのルールで決まっている。」というではありませんか。
WHOに加入していない国が、WHOのルールに縛られる。
何回考えてもおかしい。
じゃあ、WHOに加盟している国なら、その資格でも台湾で働けるのかと思いましたが、日本語で突っ込むには話題の難易度が高かったので、突っ込みませんでした。
WHOなんて無視して、台湾は台湾独自のやり方でやればいいんじゃないかと思われるかもしれませんが、それは却って台湾の国際的孤立を招きます。
こういう見えない壁を学生と見た時に、本当に何もしてあげられないし、学生自身も何もできません。
じゃあ、日本語頑張って日本で仕事探そうねとも軽々しく言えません。
留学生の進路指導をすると、台湾に限らず国と国の事情で学生の希望を叶えてあげられないことが時々あります。
なんとも言えない無力感。久しぶりに感じました。