台湾へ移住して日本語教師

2018年から台湾で日本語教師をしています。

学習者に気づかされたこと

日本語教師をしていると、いろいろな国の人に出会えます✨✨

毎日が出会い毎日がお別れといっても過言ではない職業かなと思います。

 

今まで自分が教えた学生の全員の名前と顔は申し訳ないのですが一致しません💦

が、「あー!この人は教えたことがある!!」というのは分かるし、名前は忘れてしまっても顔とエピソードは一致したりします。

 

最近、自分の会社で技能実習生の送り出し(日本語を教えて日本へ派遣する)事業を開始するという話が出て、ある研修生(実習生とは違います)のことを思い出しました。

 

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*これは台湾です🤣

 

研修制度とは

ニュースでよく技能実習生が職場で暴力を振るわれたり、超低賃金で働かされたり、というのを見ると思いますが(これもいろいろあるのですが今回は割愛)、研修生という制度もあります。

 

日本企業は世界各国に工場や支社を作っていますが、そこで働いている人たちが研修の対象になる人たちです。そこから選ばれた人数名が日本へ来て、1ヶ月〜3ヶ月ほど日本語を勉強して、企業へ行って研修を受けます。そして、それぞれの国へ帰り、日本で学んだ新しい技術や知識を持ち帰り、現地でそれを指導するという制度です。

 

なので、将来を期待された社員や、そもそも現地で偉い立場の人現地で技術が優れている人などが来たりします。

 

技術と語学

ここで1つの問題が生じます。それは、技術や立場が高い人が必ずしも語学に向いていないということです。日本語を教える立場のこちらから見ると、宿題が間違いだらけ、授業にも全然ついてこられない、ひらがなも覚えられないという人が現地の工場でトップクラスの技術者ということがあります。

 

学歴もさまざまで、大学を卒業した人もいれば、中学卒業ですぐに会社に入ったという人までいます。そもそも勉強方法(ノートに繰り返し書くなど)が身に付いていないという人もいます(でも、コミュ力高い人とかもいる)。

 

2人の研修生エピソード

私が研修生の教育を担当したのは2年程度でしたが、その間に忘れられない研修生が2名いました。

いずれも東南アジアの国から来た、とてもまじめでおとなしい人でした。

1名は女性、1名は男性です。

 

技術がトップクラス

女性の方は、毎日宿題をして、授業にも遅刻せず、授業後もまじめに勉強しているようでしたが、いつまでたってもひらがなも覚えられませんでした。

こちらも粘り強く補習などをしましたが、なかなか上達せず、通訳の人を通して学習アドバイスをしました。

 

ある日、通訳の人と話していると彼女は突然泣き出し、「私は国では仕事でこんなにつまづいたことはなかった。仕事は順調にできていたのに、日本語ができなくて辛い。」と。彼女は現地の工場で技術が非常に高く、それを評価されて派遣されていた女性。

 

結局、彼女の場合は会社も技術を磨くことを優先してほしいということで、最低限のあいさつややりとりができればOKとなりました。

 

飲み込みがとてもいい

男性の方は、日本語の上達がとても早い人でした。大人しいので指名しないと発言しませんでしたが、宿題もテストもほぼ満点

あまりにもできるので、上のクラスに移そうかという話が持ち上がるほどでした。

 

が、ある日その人は顔に痙攣を起こし、病院へ行くことに。

 

通訳の人が話を聞くと、

「僕は外国へなんて来たくなかった。大好きな彼女と田舎で結婚して、一緒に静かに暮らしたい。」と。

ほとんどの研修生が日本へ来て、いろいろな場所へ出かけてはしゃぐ中(はしゃぎすぎる人もいる中)、彼は休みの日もずっと寮で彼女とスカイプをして、1日も早く国へ帰ることを望んでいました。

 

仕事も日本語もできる人でしたが、本人の希望は家族を作って静かに暮らすこと。

留学生のように自分から望んで日本へ来ている人ばかり見ていたので、上のクラスで勉強できることを全く喜ばない学習者がいるという当たり前の事実に気付かされました。

 

まとめ

研修生を教える仕事から学ぶことは非常に多かったです。日本が好き、日本語楽しい、という留学生を教えていると当然だと思ってしまうことが当然じゃないということに気づかせてもらえましたし、興味がない人にどうやって興味を持ってもらうかというのも今までにない視点で日本語教育を考えることができました。